身分をのりこえたい、剣を極めたい、世間から認められたい―京都警護という名目のもとに結成された新選組だが、思いはそれぞれ異なっていた。土方歳三、近藤勇、沖田聡司、永倉新八、斎藤一…。ひとりひとりの人物にスポットをあてることによって、隊の全体像を鮮やかに描き出す。迷ったり、悩んだり、特別ではないふつうの若者たちがそこにいる。切なくもさわやかな新選組小説の最高傑作。(「BOOK」データベースより)
書名の示す通り、新選組の物語です。なかなかの掘り出し物でした。
全七章の中に短い項が立てられて、その短めの項毎に視点が変わります。
語りは三人称ではあるのですが、視点の主の主観を通して試衛館時代から明治維新に至る流れの中での新選組が語られています。
夫々の項で光を当てられている人物の内心に深く立ち入り、その視座から近藤や土方らについて語られるのです。光のあたる人物を深く造形するとともにその人物から見た他者が語られるという二重の構成です。
これは新鮮な構成でした。個々の出来事について新しい解釈があるわけではありません。
しかし、様々な視点から新選組を描き出すこの手法は、例え新しい解釈は無くとも実に新鮮で面白いものでした。これまでも芥川龍之介の「藪の中」のように、一つの出来事について異なった側面から光を当てて、その実態を浮かび上がらせる手法は無いわけではありません。でも、新選組についてここまで細かく視点を分けて描写している作品を私は他に知りません。
この手法のために、維新期の命をかけた若者たちの青春群像が、まるで多方面から照明が当てられた舞台上の登場人物達のように、くっきりと浮かび上がって感じられるのです。
この作者の丁寧な文体はまた読み手にも優しく、実に読みやすい文章でリズム感がよく引き込まれました。
特に項の終わりを現在形で止める文章は、単なるリズムだけでなく、読み手にとりその項の視座を持つ人物の心根に思いを馳せることになり、余韻を持たせて心地よく感じました。
本書で新しい解釈が為されているという訳ではありません。語られている事柄自体は通説的なことだと思うのです。それでも、なお実に新鮮に感じられ、評判もかなり良いことを感じます。

コメント
siroさんの掘り出し物の言葉に対して
記憶に留めおきたいと思っている作品となりました。
でも、私の記憶はすぐにあやふやとなるので、
エクセルメモに記載していつかチャンスを見て読みます。
高田郁「残月」が間もなく読み終えるので、チャレンジできるかも。
のぼりちゃんの作品と云うと安っぽくなり作者に失礼のようですね。
そうですか、男性でなく女性ですか。
女性の視点で新撰組隊員を描くことにさらに興味がわきます。
かねがね、日本の国会議員は半数を女性で占めて欲しいと思っております。
> siroさんの掘り出し物の言葉に対して
> 記憶に留めおきたいと思っている作品となりました。
いつも有難うございます。
> でも、私の記憶はすぐにあやふやとなるので、
> エクセルメモに記載していつかチャンスを見て読みます。
是非一度読んでみてください。
激しいアクションなどはありませんが、なかなかに読ませると思います。
> 高田郁「残月」が間もなく読み終えるので、チャレンジできるかも。
「残月」は私はまだ読んでません。
早めに読まなくては。
何を勘違いしたのか、大内ではなく木内昇でした。
早速図書館から借りてきました。
結構厚い本ですね、楽しみに読ませていただきます。
新撰組幕末晴嵐本は書庫にしまわれていました、狭い図書館なのでやむを得ないのですが知るきっかけがあった私のような場合はともかく、多くの目に入らないこととなります。
閉まって欲しいと思う本も目につきます、WindowsXPの関連書籍が何冊も棚にあるのです。これらは私たちが指摘する必要があるのでしょうね。
年齢を重ねてくることで口が軽くなる私なので云えばいいと思います。
残月読み終わりました。
江戸には日本酒があるけれどもビールはありません。
熊本はイモ焼酎ですか、球磨焼酎は麦ですよね。
美少年は日本酒で天草四郎?からのネーミングでしょうか?