リンク
ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったという。招待をうけた作家の木戸孝之介が訪れたところ、そこは極道専用のホテルだった。
勿論運営するスタッフも極道だし、お客も殆どがその「業界」の人たち。たまに間違えて業界以外のお客さんも来るのだが、そのお客もまた「普通」ではない人たちだった。
新撰組の物語を書いている浅田次郎とはまた別の側面を見せた、ユーモアあふれる、というよりコメディ小説です。
主人公の木戸孝之介は極道小説を得意とし、囲っている女に対しても殴る蹴るの暴力三昧でしか愛情表現が出来ない、どうにもならない屑な男です。そんな主人公に対し叔父の仲蔵は任侠道を貫く男であり、優しい眼で見守ります。
このホテルの副支配人黒田もそんな親分の若頭をしているだけに任侠に生きる男でした。一方、支配人は堅気ではあるものの、実直過ぎて出世街道からははじき出されている男だったのです。
そんな極道の運営するユニークなホテルにやってくるお客もまたかなり変わった客ばかりで、そのそれぞれが何らかの問題を抱えています。そうしたスタッフとお客とが織りなす人生模様が面白おかしく語られます。
作者の浅田次郎は1990年のデビューなので、1993年に出版されたこの作品はごく初期の小説ということになります。でもさすがに浅田次郎であり、その語り口は今の作品に通じるものを見せています。
非常に軽く読め、全四冊のシリーズですが一気に読み終えることができます。

コメント
浅田次郎のは「地下鉄に乗って」しか読んだことがありません。
「地下鉄に乗って」は先に映画を見てから原作を読んだのですが、本の方が数段良かったです。
生意気な言い方ですが、読み手のツボを知ってると言う感じです。
前に紹介された「壬正義士伝」でも涙腺が緩む場面があると書いてありましたよね~「地下鉄に乗って」も多々そんな場面がありました。
「プリズンホテル」は、それとはちょっと違うタッチのようですね!
全4巻ですか!なかなか面白そうですね~
「地下鉄に乗って」は映画は見たけど本はまだです。
映画の感じからしても小説で涙を誘う場面が浮かびますね。
「壬正義士伝」は多分だけど、更に心を刺激するのではないでしょうか。テーマは同じく家族であっても、主人公が新選組隊士であり、死地に向かう侍なので、そもそも設定がそうなのです。それでも単なる感傷に陥らないところが浅田次郎という作家の凄さでしょうか。
「プリズンホテル」は浅田次郎の初期作品だし、とても軽く読めるコメディなので、全く違いますね。
でも、既に浅田節とも言えそうな語り口は垣間見えるし、面白い作品だと思います。