女であることを隠し、伊勢崎町の『松波屋』で船頭を務める弥生。この船宿には裏稼業があった。何かから逃げだいと望む者を、金子と引き換えに綺麗に逃がす、「とんずら屋」。宿に長逗留する丈之進は、こちらもわけあって呉服問屋の跡継ぎを装っているが、国許からの「仇討の助太刀をせよ」との要請に、頭を悩ませていた。そんな船宿に、お鈴という新顔の女中が。どこか武家の匂いが漂うお鈴、それぞれの事情が交錯して―。シリーズ第2弾!(「BOOK」データベースより)
本書『田牧 大和 とんずら屋請負帖 仇討』は、『とんずら屋請負帖シリーズ』の第二巻です。
本書『仇討』では、進右衛門こと各務丈之進(かがみじょうのしん)の父親で、来栖(くるす)本家の国家老である各務右京助(かがみうきょうのすけ)が本シリーズの敵役として位置付けられることがはっきりとしてきます。
今回もこの父右京助の謀により「とんずら屋」の面々が振り回されることになります。
ただ、今回は進右衛門を主体として物語は進みます。
本書『仇討』では船宿『松波屋』の新顔の女中であるお鈴にまつわる話が中心となっていて、特に進右衛門と澤岡左門という男との間が興味深く書き込まれているのです。
そして、お鈴の仇ではあるけれど、侍らしい侍である澤岡左門との関係にまつわる謎が解き明かされていく過程は、読んでいて小気味いいものがあります。
この作者の一番の魅力は、各シリーズの人物造形の面白さがあることは勿論です。しかしながら、文章が説明的でないことが大きいと感じます。
説明的ではない文章でありながら個人的な好みに合致する人は少ないのです。
そこそこに内容は複雑なものがありながらも、読みやすく、複雑さを感じさせない物語の進め方は見事です。
他の作品も読んでみたいと思わせられるいシリーズです。

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