日本海の北朝鮮領海付近でロシア船が爆発炎上。その動きを窺っていた米海軍原子力潜俳艦が巻き込まれ航行不能となった。漂流する原潜を挟み、「北」と日米韓の緊張が一挙に高まるなか、謎の武装集団が能登に上陸、機動隊を殲滅してしまった。報道カメラマン川瀬雅彦は現場に急行するが、折しも米国大使館と警視庁で同時爆破テロが勃発。これは戦争なのか!?日本を襲う未曾有の危機。「朝倉恭介VS川瀬雅彦」シリーズ第2弾。(「BOOK」データベースより)
前作の「Cの福音」と異なり、物語としてかなり面白く、やはりこのシリーズを続けて読んでみて良かったと思いました。
オウム真理教を思わせる宗教団体が世直しに向けての武器の調達や戦士の育成をし、北朝鮮の仕業と見せかける仕掛けと共に首都東京にテロを仕掛けます。そこに、主人公川瀬雅彦がからみ、その脅威を未然に防ぐべく動くのです。
確かにこの作品でも主人公の川瀬雅彦の活躍場面はそれほどないし、筋立ても決して意外性に富んだものではありません。
それどころか、途中のある場面から結末が見えないでもなく、更に主人公の活躍の場面も偶然のたまものといった趣が強くて、少々興が削がれないでもありません。
もっと言えば、少々各場面の描写がしつこく、描写が詳細に過ぎると感じられるのです。本書の半分近くが問題の宗教団体の依頼による武器の調達の場面や途中で絡んでくるアメリカの原潜の描写などで終わってしまいます。
もう少し簡潔な状況描写と、簡潔な会話が書かれていればもっと読みやすく、テンポが良いのにと思ってしまいました。もっとも、この点は読み手により異論があるところでしょうが。
しかし、それでも本筋の宗教団体のというよりは、北朝鮮の行動に見せかけての一連の行為が、一種のシミュレーション小説としても面白く、今後もこのシリーズを読み続けたいと思いました。
ただ、蛇足ですが、北朝鮮の侵略行動のシミュレーション小説としては村上龍の「半島を出よ」があり、比べてしまった、ということがあるのかもしれません。

コメント