幕末の木曽山中。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指す登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは…。文学賞3冠の傑作がついに文庫化!(「BOOK」データベースより)
主人公の登瀬は、名人と言われた櫛挽職人の父吾助のもと、自分も父のように櫛を引きたいと願い、ひたすらに家の作業場である板の間に執着して生きていきます。
そうした自らの意思を貫こうとする姉の姿に妹喜和は反発心を燃やし、母はひたすらに家を守ることを大事と考え、女だてらに技術を覚えようとする登瀬に女のあるべき姿としての家を守ることを教えるのみでした。
世の中は黒船の来航により攘夷や勤皇の嵐が吹き荒れているにも拘らず、登瀬にとっては板の間こそが世界であり全てだったのです。
中山道は木曾山中の藪原(やぶはら)宿を舞台とする、暗いトーンの物語です。
職人の娘である主人公の登瀬の成長譚という側面も見えますが、明治維新という時代を背景にした一人の女の自分の意思で自分の生き方を選択しようとする女の職人としての生き様に焦点が合っているようです。
テーマとなる櫛、それも「お六櫛という藪原名産のこの櫛は、飾り櫛とも解かし櫛とも異なり、髪や地肌の汚れを梳(くしけず)るのに用いられている。」そうです。
また「梳櫛であるがゆえにとりわけ歯が細かく、たった一寸の幅におよそ三十本も挽かねばならない」のです。これほどに間隔の狭い櫛の歯を、「吾助は板に印もつけもせず、勘だけで均等に引くことができる」のです。
父吾助はこのような職人であり、この父の技を盗むべく、登瀬はただひたすらに父の刻むリズムを体に覚えさせようとするのです。
決して軽く読める本では無いし、エンターテインメント性に富んでいる本でもありません。そうした作品を好む方には向かない本でしょう。

コメント
くし、ある時ブラシを使っていました。
2008年に四国を歩く決心をしてから、髪はパナソニックのバリカンで上2cm、横1cmひげ==私はだいぶ以前からひげを生やしていました。
ひげは6分にしています。床屋さんとその時から縁が無くなりました。
今も自分でバリカンを使って髪を刈っています。
櫛はいつの時代にか私の周りから消えています。
浅田次郎の「一路」に髪結い流しが出てきます。
腕のいい職人で、彼が櫛を使い田舎侍をいっぱしの武士に仕上げる話があります。
> くし、ある時ブラシを使っていました。
> 2008年に四国を歩く決心をしてから、髪はパナソニックのバリカンで上2cm、横1cmひげ==私はだいぶ以前からひげを生やしていました。
> ひげは6分にしています。床屋さんとその時から縁が無くなりました。
私は髪は短くしたことがありません。
でも、床屋さんに行かなくていいのは良いですね。
> 今も自分でバリカンを使って髪を刈っています。
> 櫛はいつの時代にか私の周りから消えています。
髪は普通の長さですが、櫛は使いませんね。
洗ってそのまま、手櫛です。
> 浅田次郎の「一路」に髪結い流しが出てきます。
> 腕のいい職人で、彼が櫛を使い田舎侍をいっぱしの武士に仕上げる話があります。
「一路」は未読です。
近いうちに読もうと思っている本です。