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妖の華 | 誉田哲也


ヒモのヨシキは、ヤクザの恋人に手を出して半殺しにあうところを、妖艶な女性に助られる。同じころ、池袋では獣牙の跡が残る、完全に失血した惨殺体が発見された。その手口は、3年前の暴力団組長連続殺人と酷似していた。事件に関わったとされる女の正体とは?「姫川」シリーズの原点ともなる伝奇小説が復刊。第2回ムー伝奇ノベルス大賞優秀賞受賞作。(「BOOK」データベースより)


本書『妖の華』は、『妖シリーズ』第一弾の長編のアクションホラー小説で、誉田哲也のデビュー作品です。

もともと2003年に『ダークサイド・エンジェル 紅鈴 妖の華』として出版され、第二回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞した作品です。後に『妖の華』と改題されたものです。

主人公は四百年も前に血分けをされて吸血鬼となった紅鈴という名の女で、この女が時を経て現代にいたるまで生き延びています。

この紅鈴は160センチもない身長ですが、潤んだ瞳をした、細身で長い黒髪の黒豹のような女であって、男をくすぐる体臭を持っています。

また吸血鬼となっているので不死身であり、肉体も普通の人間には及びもつかない身体能力を有していて、ソープランドで働いてその客を気絶させ、その間に少しだけ血を飲んでいます。

またその身体能力を発揮してヤクザを相手に立ち回ったり、何とか世に潜みながら生き残っている吸血鬼を相手に戦ったりと、アクションを展開するのです。

そして誉田哲也の小説ですから、エロス満載であり、さらにアクション場面にも事欠きません。

デビュー作というだけに警察の描写など曖昧な処理になっていたりもしますが、テンポの良さ、読みやすさは既に明確になっています。

また、誉田哲也のファンとして特筆すべきは、ベストセラー小説『姫川玲子シリーズ』にも登場する井岡博満刑事が重要人物として登場していることです。

また監察医の國奥定之助も登場しているのには驚きました。

エンターテイメント小説として十二分な面白さを持った作品だと思います。

ちなみに、本書の続編として『妖の掟』という作品があります。

続編というよりは、本書の内容で触れられている三年前の大和会系組長連続殺害事件を描いた本書の前日譚となっています。

この『妖の掟』は、2020年5月に出版されていますので、さすがに2003年1月に出された本書『妖の華』とは、その内容において充実度が異なるのは否めません。

この物語は今後さらに続編が書かれる予定だそうです。

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