躊躇なく被疑者を殴り、同僚を飼いならし、ヤクザと手を結ぶーその美貌からは想像できない手法で犯人を挙げ続けてきた八神が外国人技能実習生の犯罪に直面。企業から使い捨ての扱いを受けるベトナム人らが暴力団の金を奪ったのだ。だが八神は刑事の道に迷い、監察から厳しいマークを受けてもいた。刑事生命の危機を越え、事件の闇を暴けるのか?(「BOOK」データベースより)
本書『インジョーカー』は『組織犯罪対策課 八神瑛子シリーズ』第四弾であり、文庫書き下ろしの長編の警察小説です。
この『組織犯罪対策課 八神瑛子シリーズ』は、前巻のシリーズ第三弾『アウトサイダー』で瑛子の夫の死の謎も解明されたため終了したものだと思っていました。
ところがほとんど五年の歳月を経て、その内容も近年ニュースにも取り上げられた外国人技能実習生の問題を取り上げ、これまでの色合いとちょっと異なる社会性も持った作品として突然再開されたのです。
とはいえ、やはり八神瑛子の物語であることに違いはなく、相変わらずに瑛子は警察内部での貸金業は行っており、外部の黒社会との付き合いも変わらず、そして暴力的です。
その流れの中で、なぜか瑛子が所属する上野署署長の富永昌弘が、不思議にもキャリアの人事としては異常に長く上野署署長のままにとどまっています。
その理由も警察庁長官官房長になった能代英康によるものであり、それも八神瑛子を巡る警察内部の力関係によるものだと序盤で明かされます。
そもそも、前巻『アウトサイダー』での瑛子の活躍自体が殿山俊一郎という警察の超大物OBを追い落とす結果になり、ひいては警察庁刑事局長だった能代英康を警察庁長官官房長へとのし上げる元となったのでした。
そうした力関係は反能代派による八神や富永の排除へと向かいかねず、能代は富永に八神瑛子を見守るようにと異動させなかった、というのです。
こうした理由が本書の序盤に明かされ、そんなことを知らない瑛子は現場で思う存分に暴れまわります。
その現場での瑛子の行動自体はこれまでと同じであり、ただその背後で警察内部の権力争いがあるのだと示されているのです。
今後のこのシリーズの展開がどのようになるものか、楽しみです。

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