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探偵・畝原は、地元テレビ局の祖辺嶋の依頼で、家族旅行も兼ねて、札幌郊外にあるナチュラル・パークの視察と経営者の早山という男の身辺調査をしにいくことになった。だが家族団らんも束の間。そこに大音量をあげながら一台の車が現われた。車の男は近所にゴミ山とともに暮らしているのだという。一方で畝原は兼田というヤクザ者から行方不明になった恩師の調査を依頼される。やがて調査の中で、それぞれの悲しき過去を知ることになるのだが…。「私立探偵・畝原」シリーズ待望の文庫化!(「BOOK」データベースより)
しかし、相変わらず面白いシリーズではある。これで東直己の探偵畝原シリーズの現時点までの最新刊まで読み通したことになる。
この作家は、このシリーズでは、というよりススキノ探偵シリーズもそうだが、現実におきた事件若しくは出来事をテーマに作品を仕上げているようだ。本作もごみ屋敷と貧困ビジネスという二つの問題を大きな縦糸として練り上げられている。
ススキノ探偵シリーズに比べてトーンが重い本シリーズだが、相変わらず登場人物の個性が際立っていて物語として面白い。
先日読んだ大御所チャンドラーの文章と比べても非常に読み易い。描写も偏執的と言われかねないほどの緻密さで情景を描写するチャンドラーに対し、こちらはただ単に映像を切り取りそこに置いただけで、後は読み手の想像力にまかせているような感じがする。
どちらの主人公も暴力に対する耐性はかなり強いものがあるようだ。
畝原探偵に至っては、招待状無しにやくざのパーティーに何の躊躇も無く参加できるという、恐怖感が欠落しているとしか考えられない程に度胸もありそうだ。
そこらが現実社会との乖離を感じないででもない。

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