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鳥居の赤兵衛 | 泡坂妻夫


「鳥居の赤兵衛」は大盗賊の活躍を描いた貸本屋限定・十巻ものの手書きの読本だ。滅法面白いと評判だが、貸本屋の急死と同時に紛失した。続きを読みたい清元の師匠・閑太夫は、この読本に秘められた秘密を探るが…。表題作など、色黒でぎょろ目の辰親分が鮮やかな十手捌きを披露する人気捕者帳シリーズ八篇。(「BOOK」データベースより)


泡坂妻夫の時代小説ということで、赤川次郎の時代小説と一緒に図書館で見つけるとすぐに借りました。

かつて読んだ泡坂妻夫の小説は、作者が奇術師ということでもあり、言葉の遊びも含めた、人の心理の裏を突いたりする、ちょっとひねりの入った一風変わった面白い推理小説でした。

その人の書いた時代小説です。どのようなものかと思い期待して読んだのですが、どちらかと言えば期待したほどではありませんでした。

しかしながら、昔読んだ泡坂妻夫らしさも見え、大き過ぎた期待程ではないにしろ、それなりに面白く読める本ではありました。

何しろ、本の構成からして、各短編が一人称で語られ、その語り手が毎回異なるのです。ただ、その語り口が皆同じなので最初は誰が語っているのか分からず、かなり戸惑いました。この作風は面白いという人と、分かりにくいという人と別れるのではないでしょうか。

たしかに、視点が異なることで見えてくる世界も違うでしょうし、それに伴いトリックも変わってくるのでしょうが、読み手としては少々戸惑うのです。慣れたら気にならないのかもしれませんが、一冊を読んだくらいでは変わりませんでした。

泡坂妻夫の作品らしさはあります。各短編毎に小さなひねりの効いた筋立てになっています。でも、昔読んだ推理小説の小気味良さまでは感じられなかったのは残念でした。

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