元刑事、警察学校校長を最後に退官した小早川の再就職先は三宿女子大学。「刑事政策演習ゼミ」、別名「継続捜査ゼミ」を担当し、5人の女子大生と挑む課題は、公訴時効廃止後の未解決の殺人等重要事案。逃走経路すらわからない15年前の老夫婦殺人事件だった。警察小説の名手が贈る、新たなる捜査が始まる!(「BOOK」データベースより)
本書『継続捜査ゼミ』は、『継続捜査ゼミシリーズ』の第一巻の長編推理小説です。
本シリーズの特徴は、何といっても探偵役が大学教授とそのゼミ員だということです。そこにオブザーバーとして現役の警察官が参加し、継続捜査になっている過去の未解決事件を解決するという、なかなかにユニークな設定の小説になっています。
ミステリーの中でもいわゆるアームチェア・ディテクティブ(安楽椅子探偵)と呼ばれる分野に属するといってもあながち間違いではなりそうな構成です。
すなわち、小早川教授およびゼミ生たちは、過去の事件の捜査資料を基に推論を働かせ、疑問点を洗い出し、オブザーバーの警察官から提供される疑問点に対する答えから、事件の犯人を見つけます。
時には事件の当事者たちに直接質問したり、現場にも赴いたりもしますので、厳密な意味ではアームチェア・ディテクティブとは言えないのでしょうが、推論メインの作品であるという点では同様に思えます。
とにかく、本書のメインはゼミの場においてのゼミ生と小早川教授の会話にあります。
通常の警察小説であれば一人もしくは数人で行う推理の過程を、五人の女子大学生と一人の元刑事が討論に近い形で事実を検証して確定し、その上で推論を重ねていく過程は読みごたえがあります。
ここで登場する五人の女子学生がなかなかに曲者です。
弁護士顔負けの法律知識を有する安達蘭子をはじめ、UMAなどに関しての知識を有する瀬戸麻由美、武道家の西野楓、歴史に詳しい加藤梓、そして薬関係に強い戸田蓮と、ほかの小説では専門家が登場する場面をゼミの中で解決できるのですからかなり優秀なゼミなのでしょう。
小早川及びそのゼミ関連の登場人物のほかに、新米教授の小早川と何かと話が合う竹芝教授がいます。
この教授が一般的な大学の先生を代表していると思われ、大学教授と学生との関係を単なる卒業し就職するための道具と捉えがちな現代の大学の抱える問題点を端的に提示してくれます。
実に今野敏らしい、読みやすい小説です。楽しみが増えました。

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