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エムエス 継続捜査ゼミ2 | 今野 敏


未解決事件を取り上げるため『継続捜査ゼミ』と呼ばれる小早川ゼミの5人の女子大生は、冤罪をテーマにしようとする。小早川は、授業で学内ミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶に会うが、後日高樹は小早川と話をした直後、何者かに襲われ救急車で運ばれた。その後、高樹に対する傷害容疑で小早川が任意同行させられることに―警察に疑われ続ける教授に代わり、ゼミ生たちが協力して事件の真相を明らかにしていく。(「BOOK」データベースより)


本書『エムエス 継続捜査ゼミ2』は、『 継続捜査ゼミシリーズ 』の第二弾です。

本書はいつもの今野敏の小説であり、非常に読みやすく面白い作品であることに間違いはないものの、違和感がありました。今一つのリアリティアがないのです。緊張感がないと言い換えてもいいかもしれません。

それは、本書は女子学生による対話、推論という学問のためのゼミを舞台としているので、発生した事件の犯人の探索を目的とするが多い通常のミステリーとは前提が異なるため、致し方ないことかもしれません。

しかし、少なくとも本書に関しては、物語の描き方そのものから違う気がします。

それは、一つには主人公である小早川教授の存在感があまり感じられないこと。二つには女子学生らのキャラクターがあまりはっきりとしていないことがあります。

そして第三に、これが一番大きいのですが、ストーリーがあまりにデフォルメされすぎています。ストーリーが単純化されすぎているのです。

それは、登場人物のキャラクターも含めてという意味であり、主人公の小早川教授を犯人として思い込んでいる大滝強行犯係長の存在自体も単純化されすぎだと感じました。

今野敏の小説自体がストーリーの単純化を一つの特徴としているといってもよく、そのこと自体は決して悪くはないと思っています。

単純化してあるために物語が読みやすく、今野敏の文章の読みやすさも相まって一級の面白さを持つ小説が出来上がっていると思うからです。

しかし、本書の場合、優秀な刑事であるはずの大滝係長が主人公の小早川を犯人と思い込み、本書のテーマにもなっている冤罪事件へまっしぐらに突っ走るキャラを演じさせられている点は行き過ぎでしょう。

確かに、本書は今野敏の小説らしい、読みやすく面白い小説です。

ただ、本書の主要テーマである冤罪という点について広げるという点で理解はできても、行き過ぎた物語の単純化というその点は少々残念なところでした。

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