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星を継ぐもの | J・P・ホーガン


【星雲賞受賞作】
月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。(Amazon内容紹介より)


もう30年ほども前に一度読んでいる本なのですが、近頃ほかのSF作品に触れる機会もあって再度読んでみたものです。

月で一人の人間の死体が見つかった。問題は、チャーリーと名付けられたその死体が五万年も前の死体だったということだ。

一方、木星の衛星の一つのガニメデで異星の宇宙船が見つかった。チャーリーと現生人類との関係は如何なるものなのか、ガニメデで見つかった宇宙船とは関係はないのか、次々と新しい事実が出てくるものの、それはまた新しい疑問の出発点でもあった。

チャーリーの存在が示す意味を科学者が推測していくのですが、夫々の解釈は現実の科学に裏付けられた理論を基にした推論であるため、一般読者である科学の素人にも物語の厚み、深みを感じさせる小説です。

一つの推論には必ず不都合な点があり、十全の解釈は中々に見つかりません。ロジックの積み重ねで一つの結論を導くその解明の様はまるで推理小説です。

エンターテインメント小説としての筋立ての派手な展開はありません。それでも、謎が一つ一つ解き明かされ次第に真実が見えてくるその過程と明かされる事実はいかにもSFらしい興奮をかきたててくれます。これぞ、センス・オブ・ワンダーだという物語です。

最終的には人類発生の謎の解明にまで踏み込むこの物語は、壮大なスケールのもと、いかにもSFらしいSF小説です。

本作品はこの後「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」、そして、私もまだ読んでいない「内なる宇宙」へと続きます。

SFを食わず嫌いの人も、せめてこの「星を継ぐもの」だけは是非読んでみて欲しい一冊です。

コメント

  1. 東屋梢風 より:

    『星を継ぐもの』は、星野之宣のマンガで読みました。アレンジされた部分もあるものの、概ね原作どおりだとか。2013年星雲賞コミック部門受賞作です。
    壮大な宇宙観、歴史観が素晴らしい。異形の巨人たちのほうがより高い人間性の持ち主(オーバーロードだから当然かも)、しかしその高さも場合によっては……というアイロニーが面白かったです。
    ハードSFがお好きな向きに、星野作品はお薦めです。ホーガン『未来からのホットライン』もマンガ化しています。
    また、原作無しのオリジナルSFも面白いです。『2001夜物語』は不覚にも泣けました。

  2. 雑読者 より:

    いつも有難うございます。
    > 『星を継ぐもの』は、星野之宣のマンガで読みました。アレンジされた部分もあるものの、概ね原作どおりだとか。2013年星雲賞コミック部門受賞作です。
    残念ながら星野之宣のこの作品は読んでいません。
    星野之宣作品は昔読んだことはあるのですが、タイトルは覚えていません。多分『妖女伝説』あたりではなかったかと思うのですが。
    > また、原作無しのオリジナルSFも面白いです。『2001夜物語』は不覚にも泣けました。
    『2001夜物語』も多分一部は読んでいる筈です。
    この人ロマンあふれる物語もいいのですが、画がうまいですね。
    線は決して硬質では無いのですがメカの書き方もうまく、SFとしてのイメージを保ったまま、それでいてどことなく情緒的で・・・。
    SFの漫画といえば手塚作品は別として大友克洋、萩尾望都なども好きな作家です。
    それにしても東屋梢風さんも色々なジャンルのものを読まれているのですね。