一日で一気に二冊とも読んでしまいました。
「その日」「銀河祭りのふたり」と、もはや連作の短編集とはいえないでしょう。本当は五作目の「火喰鳥」あたりからそうで、長編のシリーズだと言うべきです。
実は高田郁の「ふるさと銀河線 軌道春秋」とあわせて三冊を一日で読んだのです。一昨日は読書だけで終わった一日でした。それだけ三冊共に短時間で読める程に読みやすく、また読みたくなる本だったということです。
話を戻しますと、「火喰鳥」で信太郎の身に大きな事態が起き、人生の転換がはかられました。
そして「その日」の物語ともなると、当初の芝居小屋を舞台にした物語とは全くその趣を異にしています。物語は物語の舞台だけではなく、登場人物まで変わってしまい、かすかに残っていた捕物帳的な匂いまで全くありません。
だからと言って面白くないというのではなく、物語としてはとても面白いのです。
また、信太郎の環境が変わったためか、人間までも変わったような感じがするのは仕方のないことなのでしょう。
後半の物語は、まるで昭和の名脚本家の花登筺のドラマを思い出しました。メディアもテレビドラマと小説と異なるし、描かれている時代背景も昭和の大阪とこちらは江戸時代だし、花登筺は根性ものでこちらは人情ものと全く異なるのですが、家族を描き、嫁と姑、小姑との話など通じるものがある気がします。
と言っても、それは商店が舞台となるシリーズ後半の商人の努力の物語という点で言えるだけのことであり、たまに入る磯貝貞五郎と小つなとの物語など、シリーズ全体を覆う人情味豊かな味わいは本書ならではのことでしょう。
本シリーズも終わってしまいました。新しい家族も増えたこの後の信太郎一家の物語を読みたいという読者の声はかなりあると思います。作者は検討して貰いたいものです。

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