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小曾根百合ー幣原機関で訓練を受け、東アジアなどで三年間に五十人超の殺害に関与した冷徹非情な美しき謀報員。「リボルバー・リリー」と呼ばれた彼女は、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太と出会い、陸軍の精鋭から追われる。大震災後の東京を生き抜く逃避行の行方は?息をもつかせぬ大藪春彦賞受賞作。(「BOOK」データベースより)
本書『リボルバー・リリー』は、元諜報員の女性とある少年との逃避行を描いた長編のアクション小説です。
他国の諜報員から恐れられていた元諜報員の小曾根百合のもとに一人の少年からの助けを求める連絡が届きます。
細見慎太という男の子と会った百合は、慎太の父親が隠したある資金に関する書類を追う機関の攻撃をかわしつつ目的地まで慎太を送り届けるのです。
単純に言えばそれだけの物語ですが、新刊書で660頁弱の長さの巨編と言ってもいい作品となっています。
ですが、この作者の膨大な史朗に裏付けられた緻密な情景描写は十分なリアリティーを持っていいます。
ですから、百合たちの逃避行を助ける様々な人物の行動が場当たり的ではなく、物語の流れにきちんと違和感がなく組み込まれていて、読んでいて楽なのです。
登場人物と言えば本書には山本五十六などの実在の人物も登場してきます。それらの人物が物語に色を添えるのは勿論です。
そうして物語は都下を舞台とする壮大なクライマックスへとなだれ込んでいきます。
まさに荒唐無稽なラストなのですが、作者の筆は読者を離しません。
実に面白いエンターテイメント小説だと言えます。

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