ある地方都市で起きた、動機不明の連続猟奇殺人事件。逮捕された美青年は、怪物「ブージャム」の異名で恐れられ、熱狂的な信奉者を生み出した。やがて彼の死刑は執行。事件は終結したかに思われた。その矢先、現場にかつての「異名」を記した、新たな猟奇殺人が発生する。人の心の闇を描く江戸川乱歩賞受賞作!(「BOOK」データベースより)
関東の地方都市の図書館の司書を務める南條仁には、かつてこの街を震撼させた殺人鬼ブージャムに双子の兄を殺されたという過去があった。あれから14年がたち、再びブージャムを名乗る殺人鬼が復活した。
第59回江戸川乱歩賞受賞作品です。
本書の最後に審査員たちの今回の乱歩賞参加作品に対しての感想が載っているのですが、結構厳しい意見が多いのに驚きました。受賞作品に対してさえそうなのです。そして、ネット上の本作に対する感想も同じく厳しいものが多いように感じました。
確かに、本書を読んでいる途中で若干の違和感を感じたが大きくは2点ありました。
一つは「ブージャム」と呼ばれる殺人犯への多数の崇拝者が現れるのですが、この殺人犯にはあまりカリスマ性を感じないこと、2つ目は実際の警察はそんな甘くないだろう、ということです。
大きくこの2つを感じたのですが、やはり感じることは同じようで、ネット上の多数の批判もこの点についてのものが殆どでした。
しかし、小説として読んでいく上で上記の違和感は感じたものの、物語としてはかなり良くできていて面白く、その気持ちのまま最後まで読み終えたのです。
主人公が内省的すぎる点や警察内部の描写があまり無いことなど他にも挙げればいろいろあります。
でも、文章は短文をたたみ掛けることも多くてテンポも良く、好みのタッチでした。ストーリーも上記の点を考慮しても面白かったと思います。
個人的には次の作品を楽しみに待ちたい作家だと思いました。