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冬の狩人 | 大沢在昌


3年前にH県で発生した未解決殺人事件、「冬湖楼事件」。行方不明だった重要参考人・阿部佳奈からH県警にメールが届く。警視庁新宿警察署の刑事・佐江が護衛してくれるなら出頭するというのだ。だがH県警の調べでは、佐江は新宿の極道にとことん嫌われ、暴力団員との撃ち合いが原因で休職中。そんな所轄違いで無頼の中年刑事を、若い女性であるはずの“重参”がなぜ指名したのか?H県警捜査一課の新米刑事・川村に、佐江の行動確認が命じられる―。筋金入りのマル暴・佐江×愚直な新米デカ・川村。シリーズ屈指の異色タッグが炙りだす巨大地方企業の底知れぬ闇。(「BOOK」データベースより)


『狩人シリーズ』も本作で五作目になりました。

シリーズも最初の方ではサブに回ることの多かった佐江刑事ですが、三作目あたりから次第に佐江刑事が主役となってきました。

そして本書でも実質佐江刑事の物語となっています。

とは言っても、『新宿鮫』の鮫島刑事のように佐江刑事の単独行が描かれるのではなく、お目付け役の新米刑事の川村との二人で行動となるのですが、つまりは佐江の物語なのです。

そもそも、提出した辞職願も無視されて休職扱いとなっていた佐江を引っ張り出したのが三年前に起きた「冬湖楼事件」の参考人の阿部佳奈の書いたメールでした。

それも、警察を信じることができずに逃亡していた阿部佳奈が、新宿署の佐江刑事ならば信じることができるとの助言を得て、佐江刑事のもとにならば出頭するという決断をしたのでした。

であれば警察を辞めるつもりでいた佐江も無視するわけにはいかず、他県のH県警へと乗り出してきたわけです。

つまりは、三年前の殺人事件へと繋がることが考えられ、それは即ち「冬湖楼事件」の真実へと繋がることでもありました。

そこにおいて佐江刑事の活躍の場が設けられたことになります。

ただ、佐江刑事が脇に回った作品、例えばシリーズ二作目の『砂の狩人』のような面白さはなかったと思います。

それは即ち、『砂の狩人』の主役となった男が魅力的だった、ということであり、その魅力的な男と佐江刑事との交流が読み手の、つまり私の好みに合致したということだと思います。

また、佐江刑事が主役となった作品であれば鮫島刑事の物語と若干重なった印象が無きにしも非ずであり、そういう点も含めて脇に回った佐江刑事の物語が読みたいのだと思います。

勿論、本書は本書としての面白さが無いわけではありません。

単に、より面白い物語を求めるこのシリーズのファンの独り言です。

雑読者

熊本市在住の爺さん。 活字中毒の乱読、雑読派。 SF小説、冒険小説などを特に好む。 音楽はかつてのフォーク好き。洋楽はブラフォー、ビートルズ他。

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