まるで吸い寄せられるように二人の男が訪れた廃車置場。そこにうち捨てられた冷蔵庫の中にいたのは、死にかけた裸の幼女だった。男の一人、住職の浄鑑はその幼女ミハルを引き取ることにする。だが、彼女が寺に身を寄せてから、集落では凶事が続き、人々の間に邪気が増殖していく―。ミハルとはいったい何者なのか?まほかるワールド全開の、サスペンス長編!(「BOOK」データベースより)
廃車置き場に捨てられていた冷蔵庫の中に閉じ込められていたミハルという幼女を見つけた筒井浄鑑と工藤悠人という青年のその後の物語です。
五年後に、悠人は祖父の工藤多摩雄と再会し、多摩雄のアパートにいたリツコの部屋に転がり込みます。
一方、ミハルは浄鑑のもとにいましたが、その浄鑑の周りでは奇妙な事件が起き始めるのでした。
本書『アミダサマ』は、長編のホラー小説なのだけれども、単に怖いとか不気味だとか言うのではなく、誰かが書いていたように「どの作品もずしりと重く」、不快感が心の底におりのようにたまる作品でした。
ホラーではあるのだけれど、これまで読んだ日本のホラー作品のどれとも似ていない作品だと思います。
日本のホラー特徴として心理的な怖さの存在を言われますが、この『アミダサマ』という作品の場合は、物語自体が濃厚な欲望を有しているようで、不気味というしかないのです。
登場人物を振りまわす存在の重さ、濃密さは他のホラー作家の持つ怖さとは質が違うと感じるのです。
作者自身が僧侶経験を有している、と聞いて、浄鑑という存在を描けたのかと納得もしています。